2022/06 ものがたり日記
あらすじの範囲を超えそうなネタバレは薄字(反転推奨)。まだ自分で楽しむ予定があればスルーしてね。
5月公開の映画はもう終わっちゃってるかな、、、
『犬王』(映画)
- 教科書に載っている「観阿弥・世阿弥」と同時代に活躍したとされる、能楽師「犬王」が題材。原作者はこの前のアニメ『平家物語』と同じ古川日出男、原作タイトルも『平家物語 犬王の巻』。
- 異形の忌み子として生まれた犬王と盲目の琵琶弾き・友魚のタッグがはちゃめちゃな能-Popで成りあがっていくお話。史実に残ってないことをいいことにやりたい放題(言い方)、『キングダム』みたいな。
- 室町版『ボヘミアン・ラプソディ』と聞いて観に行ったがだいたい合ってた。中世の日本にド派手で現代的な演出がこれでもかも盛り込まれる。ライブシーンは基本笑顔になっちゃう。
- 琵琶法師が語るのは平家の鎮魂のため。原作に名を冠するように本作も「平家の物語を後世に受け継ぐこと」が大事なテーマなのだが、それを膨らまして死者・生者・現代の人々の繋がりを「名前」で象徴させているのがなかなかテクい。
- 名もなき平家の魂が遺した物語、屋号とともに立場や信条を変えていく友魚、犬王が現代ではほぼ名前しか残っていない事実などなど。
- 最近は中世日本の解像度が一気に上がったように思う。アニメ『平家物語』、『逃げ上手の若君』、『ワールドイズダンシング』(←まさに最近連載で犬王出てる)あたりは関連づけながら追っている。
- 今大河でやってる『鎌倉殿の13人』も観たいんだけどテレビが無くてな、、、NHKオンデマンドに全話出てから一気見するのもありか。
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前作『はじめアルゴリズム』など
ワールド イズ ダンシング(1) (モーニングコミックス) | 三原和人 | 青年マンガ | Kindleストア | Amazon
『ハケンアニメ』(映画)
- かつて偶然見たアニメに人生を救われた女性がアニメ監督になり、恩人で憧れであるそのアニメ監督と同じ時間帯枠でバチバチに覇権を競うお話。
- 「お仕事もの」としてアニメを取り巻くあらゆる人にスポットを当てている。(見てないけど)『SHIROBAKO』の実写版みたいなイメージかな?
- 実写によくある訳者が美男美女すぎるやつを逆手にとって、制作にフルコミットしたい監督を「顔がいいんだから露出して宣伝しろ」「見てもらうためなら何でもやれ」みたいなP視点の展開をうまく織り込むなど。
- クリエイターとマネージャーの考え方・行動原理の違いみたいなテーマは割とよく見る(話作る人が当事者なんだから当たり前か)。例えば『映像研には手を出すな』『【推しの子】』とか。
- アニメ制作に数百~数千人単位規模が動くと思うと、漫画はびっくりするほど作者個人の裁量が大きいことに気付く。動画の方が色、音、間、etcと使えるので、本当に面白いアニメ・映画は漫画と比べ物にならない体験ができる気がする。
- でも物語をトータルの完成度で見がちな自分としては、やっぱり個人で作る漫画の方が整合性やバランスが取れている気がするので好きかなあ。
5巻の表紙大好き
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赤坂アカは『かぐや様は告らせたい』と同時連載……すごすぎる
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『ボーイミーツマリア』(漫画)
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- 高校生ながら未だにヒーローに憧れる系男子、演劇部のマドンナに一目惚れして告るもあえなく玉砕。しかもマドンナ、実は男だった……?というお話。
- やることなすこと薄っぺらい無邪気くんが性自認のこじれたセンシティブくんに付きまとうのでまあ荒れるのだが、こじらせた方はもちろん無邪気な方もそれなりのルーツがあるのが段々と見えてくる。
- BLともNLともつかないが、お互いの純粋さ・思考の深さに触れながら精神的に成長していく過程を味わえるのがとてもツボ。
- 無邪気さは使いようによっては処世術になりうるが、TPOを弁えないと他人を傷つけてしまうのでその塩梅は難しい、、、などと自分を顧みながら思うなど。
- 大河(作中の無邪気くん)の場合は幼少期の防衛本能に由来する無自覚な無邪気。無知の無知。そこに自力で問題意識を持てた上に持ち前のピュアさと合わせて結果スーパーいいヤツに成長しているのがミソ。
- 思慮深さと繊細さが紙一重なのと同じように、無邪気であることと無神経は似て非なるもの。この二つの関係性は、内的・自分向き/外的・他人向き の違いで共通しているのではないか。
- 思考が浅い/単純 ・・・ (内的)無邪気 (外的)無神経
思考が深い/複雑 ・・・ (内的)繊細 (外的)思いやりのある - 純粋な心を持ったまま他人には思慮深くいられるのが理想だけど、自然とそんな状態になることは難しそう。大河のケースはシンプル型から(純粋・思慮深い)の理想ハイブリッドに移行した、と言えるのではないか。でもこれってだいぶレアケースだよね。
- どっちがいいかと言われても結局使い分けとバランスなので、二項対立の構図はこれはこれで理解しながらグラデーションで調整するのがベストなんだろう。ときには「自覚的に無自覚でいる」ことも必要なのかもしれないね。